皆さん、当然著作権という言葉はご存知でしょうし、ある程度、日常生活でも著作権に注意しているでしょう。 ですので、あまり改めて著作権の説明をする必要はないかも知れません。 しかし、コンピュータの世界では、紙の世界と比べてデータをコピーしやすい上に、 コピーしてもデータが劣化しないという特徴があります。 ここでは、特にコンピュータを使う際に重要になる点について紹介します。 一般的な著作権に関する注意は以下のリンクを参考にして下さい。
デジタル著作権管理とは、コンピュータなどの電子機器上のコンテンツ、 音楽や映画、写真の著作権を管理するためのシステムです。
前述の通り、コンピュータでは、データを劣化させずにデータをコピーすることが可能です。 しかも、インターネットの高速化が進んだことにより、 遠く離れた所でも簡単にデータをコピーすることができるようになりました。 そのため、著作権者の承諾を得ない違法なコピーが行われるようになってきました。 この状況に対応するため、著作権を保護するための技術が開発されてきました。
例えば、Windows には Windows Media Player というアプリケーションがあります。 このアプリケーションは、音声ファイルや動画ファイルを再生するためのものですが、 マルチメディアファイルの著作権を管理するための機能が含まれています。 これは、マルチメディアファイルを配布する際に、 そのファイルを再生するために必要になる「ライセンスキー」を同時に配布することにより、 そのファイルの再生を制限します。 このライセンスキーには、どのパソコンで再生できるか、どの時間なら再生できるかなどの情報が含まれています。 この機能により、例えば、インターネットからダウンロードした動画ファイルを、 そのダウンロードしたパソコンだけでしか再生できないようにしたり、 再生できる期限を設定したりすることが可能になります。 そのため、著作権を保護したまま、 インターネットでマルチメディアファイルを販売することができるようになります。
[図1]デジタル著作権管理
紙幣や公的な書面などでは、「透かし」を使うことにより偽造を防ぐことがあります。 透かしにより、単純にコピーしても元と同じものを作ることはできません。 偽造が非常に困難になります。
この透かしと似たような機能を持ったものとして、「電子透かし」というものがあります。 ただ、透かしと同じようなものだと、デジタルデータですので、コンピュータで簡単にコピーできてしまいます。 したがって、その代わりに、ノイズなど人間が知覚できない程度の情報で、 コンピュータ上で加工しても変化しないような情報をデジタルコンテンツに含めます。 この情報に著作権者の情報を含めます。 すると、どんなにコピーしても、どんなに加工しても、元の著作権者の情報は保持されますので、 著作権者の権利が守られることになります。 これが電子透かしです。
ただし、含めるノイズが多過ぎるとコンテンツの内容が劣化してしまいますし、 少な過ぎても電子透かしの機能が発揮されなくなってしまいます。 ここで詳細に触れることはできませんが、技術的には色々な種類の電子透かしが使われているようです。
デジタルコンテンツに限らず、アプリケーションもデジタルデータですので、簡単にコピーできてしまいます。 したがって、アプリケーションの CD-ROM をコピーしてシリアルナンバーもコピーしておけば、 簡単に他のコンピュータにもそのアプリケーションをインストールできてしまいます。 さらに、家族や親しい友人などに頼まれて何気なくコピーしてしまうこともあるかも知れません。 この何気ないコピーを「カジュアルコピー」といいますが、違法性があることには変わりありません。
しかし、この数年、「アクティベーション」と呼ばれる技術が普及してきて、 違法コピーすることが難しくなってきました。 アプリケーションにこのアクティベーションの機能が付いている場合、 そのアプリケーションは、インストールしてシリアルナンバーを入れるだけでは、正常に使うことはできません。 アプリケーションによって送るべき情報は異なりますが、 その端末に特有の情報、例えば、ハードウェアの情報や IP アドレスなどをそのアプリケーションのメーカに送る必要が生じます。 この情報を送るとメーカから「解除キー」が送られますので、そのキーを使うことにより、 初めてアプリケーションを使うことができるようになります。 この機能により、複数のパソコンで同時に使用したりすることができなくなります。
このアクティベーションのプロセスは少し複雑に見えますが、 ほとんどの場合、アプリケーションが自動的にやってくれるので、私達はあまり意識する必要はありません。 また、パソコンに最初からインストールされているアプリケーション(プリインストールのアプリケーション)に関しては、 工場出荷の時点でアクティベーションが完了している場合がほとんどです。 なお、アプリケーションのライセンスの範囲内での再インストールの際には、所定の手続きを踏めば、再インストールが可能です。
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