基本的に、従来の郵便でしてはいけないこと、避けるべきことなどは、電子メールでもしてはいけません。 しかし、慣れれば手軽に送信できてしまうだけに、ついつい暴走してしまったりすることがあります。 また、人間の側が電子メールの技術的な制約を意識して使用しなければいけない部分もあります。
ここでは、いくつかの点について簡単に触れておきます。
昨今、連絡を取り合う手段として、「電子メール」が頻繁に活用されています。 これからの大学生活においてはもちろんのこと、 今後就職して社会に出ると、 「電子メール」の利用頻度は圧倒的に多くなり、 業務の一環としてメールチェックを行うことも要求されると思います。
またとりわけ、就職活動や仕事上での電子メールのやりとりは、 友達同士で行う「携帯メール」のやりとりとは決定的に異なる点があります。 それが、「メールマナー」と言われるものです。 以下に、参考となるサイトを挙げておきますので、 一度は閲覧してみてください。
以下に、主な注意点を挙げておきます。
- 【宛先】aaa@bbb.ccc
- ⇒ 送り先のアドレスが一字一句間違いがないか確認すること
- 【件名】2022年度前期第N回授業の内容に関する質問
- ⇒ 指示がない場合には、メールの内容がわかる簡潔で明確な件名を付けること
- ⇒ 指示がある場合には、その指示に正確に従うこと
--------- 以下、メール「本文」の記載例 ---------
○○大学 文学部 △△先生 (株式会社○○ 人事部 採用担当 △△様) ⇒ 送信相手の所属と敬称を最初に記載する
いつもお世話になっております。 (お忙しいところを恐れ入ります。etc) ⇒ 簡単な挨拶を入れた方が心象が良い
京都大学文学部の□□です。 ⇒ 自分の所属と名前を記載し名乗る
第N回の授業で説明していた……、(先日の採用面接において……、) ⇒ 実際の要件を書き始める
…………、
…………。また、今後の予定について……、 ⇒ 段落を改める時には1行空ける
…………、
…………。
- 原稿用紙で文章を書くときは、段落冒頭で1文字空けますが、 メールの場合は、段落前に「1行空ける」ということを行うことが多いです。
- メールでは、1行おおよそ30字前後になるように心がけましょう。
Web ページ上で公開されているメールアドレスなどに、 営利目的で大量に送られるメールを spam(スパム)と呼びます。 spam という呼び方以外にも、「迷惑メール」「ジャンクメール」などという呼び方もあります。
spam という呼び方は、アメリカの会社が販売しているハムに似た缶詰の商品名に由来しています。 この缶詰が「モンティ・パイソン」というイギリスのコメディに使われたのがきっかけで、 迷惑メールのことを spam と呼ぶようになったそうです。 この缶詰は、SPAM と全て大文字で綴ります。 SPAM の製造元の会社は、迷惑メールの spam は全て小文字で綴るように呼びかけています。
迷惑メールの正確な定義はなかなか難しいですが、 受信者の意志を無視して無作為に送信される電子メールであると捉えることができます。
では、なぜ、迷惑メールなどというものが出回ってしまうのでしょうか。 これは、電子メールは、通常の郵便と比べて、誰でも簡単に送信できるということがあります。 電子メールは普通の郵便と似たような仕組みで送られます。 しかし、電子メールと普通の郵便の大きな違いとして、 電子メールは、ただ同然の値段で、大量に一度に送信できるという点があります。 これに対して郵便は、当然郵便料金がかかりますし、 大量に送信する場合の送信者の負担もばかになりません。
電子メールは、インターネットの歴史のかなり最初の時期に作られたものです。 その頃はまだ、インターネットの世界も狭かったので、お互いの信頼関係だけで十分成り立っていました。 ですので、電子メールの発信者の制限は緩い状態でした。 それからインターネットの世界が発達してきて、多くの人が電子メールを使うようになってきましたが、 誰でも簡単に電子メールを送信できる状態のままでしたので、 現在のように迷惑メールが大量に送られるようになってしまいました (プロバイダなどで、この「誰でも簡単に電子メールを送信できる」という状態を制限することにより、 迷惑メールを遮断する対策を取られてきています)。
「ナイジェリア詐欺」とも呼ばれます。 電子メールが普及する前から流通していたもので、いわゆる「マネーロンダリング(資金洗浄)」を持ちかける詐欺です。 典型的なものは、「大量の資金を持っている。しかし、その資金を安全に国外に出す方法がない。 だから、あなたの口座を貸してくれないか。」という文面のものです。 古くからあるものですが、なぜか、ナイジェリアが舞台になっているものが多いので、 このような名前が付いています。
使っていない有料サイトなどの料金を請求するものです。 これは、電子メールに限らず郵便や電話で架空の請求が来ることがあります。 請求に身に覚えがなければ、無視すれば大丈夫です。 仮に身に覚えがあるとしても、相手が悪質な業者である可能性があるので、 警察や公的機関に相談するようにしましょう。
いわゆる「出会い系サイト」の広告です。 本文の内容はあからさまなので、すぐに広告だと分かりますが、 件名に「ありがとう」「こんにちは」など普通のメールを装ったものを付けることがあります。 ですので、本文を見ないと迷惑メールかどうか判断できない場合があります。
上でも説明しましたが、このような迷惑メールが横行しているので、 電子メールには、適切な件名を付けないと見てもらえなくなってしまうことがあります。
まるで間違いメールのような文面で送られてくるメールがあります。 間違いメールだと指摘するメールを送ってしまうと、 有効なアドレスとして迷惑メール送信者のリストに載ってしまいます。 間違い電話とは異なり、知らない人から間違いメールが届くことはまず有り得ません。
そもそも迷惑メールが送られないようにするために、我々ができる対策には以下のようなものがあります。
掲示板などでメールアドレスを公開してしまうと、すぐに迷惑メールが届くようになります。 ですので、必要がなければ Web 上にメールアドレスを掲載すべきではありません。 どうしても必要でしたら、Yahoo など無料で利用できるアドレスを使うということもあります。
不特定多数からの連絡を受けるためにメールアドレスを公開しているのでない限り、 基本的には知らない人からメールが届くことは有り得ません。 ですので、不用意に知らない送信者からのメールに返事をしてはなりません。 返信すると迷惑メール送信業者のリストに載ってしまうことになります。
最近のメールソフトには、迷惑メール対策機能が付いているものがたくさんあります。 迷惑メール対策専門のアプリケーションもあります。 単純に特定の差出人からのメールを迷惑メールと判断するものから、 本文に含まれている単語を統計学的に処理して、 そのメールが迷惑メールである確率を算出するようなものまであります。 そのようなアプリケーションを利用するという手もあります。 これを利用すると、迷惑メールが届いても目にしないようにすることができます。 ただ、百パーセントの対策はなかなか難しいようです。 特に、正常なメールが迷惑メールとして判断されていないか注意する必要があります。
京大全体でも迷惑メール対策が行われています。 以下の記事は京都大学学術情報メディアセンターの高倉先生の講演に関する記事です。 少し専門的ですが、興味のある方はご覧下さい。
コンピュータウイルスには、色々なパターンがあります。 大抵は電子メールで送られてきますが、 場合によっては、悪意を持った Web ページを見ただけで感染してしまうこともあります。 感染してしまうと、不特定多数にメールを送信してしまったり、 コンピュータのデータが破壊されてしまうことがあります。 場合によっては、自分の個人データがインターネット上に流出してしまうことがあります。
取るべき対策としては以下のものが挙げられます。
Windows が入っているパソコンを購入したら、 ほとんど場合、すでに何らかのアンチウイルスソフトが入っています。 ただ、入っているのが体験版だったりすることが多いので、 正規に購入するか、新たに別のアンチウイルスソフトを入れるようにしましょう。
また、メールに関しては、 プロバイダのサービスでウイルスチェックがなされている場合もあると思います。 このような場合も必ず手元のパソコンにもアンチウイルスソフトを入れましょう。 前述の通り、ウイルスはメールで送られてくるとは限りません。
アンチウイルスソフトは入れているだけでは意味がありません。 毎日新しいウイルスが発生しています。 そのたびにアンチウイルスソフトの開発元から、新しいウイルスの情報が提供されます。 常にこの情報を最新にしておくようにしましょう。
また、ウイルスがパソコンのどこに潜んでいるか分からないので、 定期的にハードディスク全体のチェックを行うようにしましょう。
ウイルスに感染する典型的なパターンとして、 「メールの添付ファイルを何気なく開いたらウイルスに感染してしまった。」というのがあります。 特に見知らぬ人からの添付ファイルは開かないようにしましょう。 また、ウイルスの中には、拡張子やアイコンを偽装するものもあります。 画像ファイルかと思ったら、実はウイルスの実行ファイルだったということもあります。
Windows 以外、例えば、Mac OS X を使っていてもウイルスに感染する可能性があります。 確かに Windows と比べると感染する可能性は低いですが、決してゼロではありません。 Mac OS X を狙ったウイルスも存在します。 また、感染しなくても、「メールで受け取ったファイルを他の人に転送したら、 実はそのファイルはウイルスだった」ということで、 ウイルスの中継場所になってしまうことも有り得ます。 Mac OS X でも必ずアンチウイルスソフトを導入しましょう。
金融機関やクレジットカード会社などからの正規のメールであることを装い、 偽の Web ページで暗証番号やクレジットカード番号を入力させる詐欺をフィッシング詐欺と呼びます。 いわば、インターネット版の「振り込め詐欺」といえるでしょう。
手口としては、「ユーザ情報の再入力が必要」というような内容の電子メールを送り、 そこから本物そっくりの偽の Web ページに誘導するというものです。 そのようなメールが届いた場合には以下のことに注意する必要があります。
電子メールの差出人のアドレスは、普通はどこでもチェックされないので、簡単に詐称できます。 ですので、差出人のアドレスが正しいというだけでそのメールを信じてはなりません。
ブラウザでアクセスした時のアドレスがその会社の正式なアドレスかどうか確認して下さい。 また、ブラウザの機能でアドレスバーを隠した Window を開くことは簡単にできますが、 アドレスバーを隠しているような Web ページは間違いなく詐欺のページでしょう。
後述しますが、SSL と呼ばれる通信の暗号化の方法があります。 きちんと SSL を使っていない場合は間違いなく詐欺のページです。
こちらから先方に問い合わせてみるのは詐欺対策の基本です。 何か問題があれば、その会社の Web ページのトップページに掲載されているはずです。
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